起業を成功に導くポイント

執筆担当

発知 健太郎(Kentaro Hotchi) 

中小企業診断士

 

プロフィール

1976年生まれ 青梅市出身
大学卒業後、環境調査会社で営業を経験。高齢者・障害者福祉施設での現場経験を経て、児童福祉事業を目的とした知創株式会社を設立。青梅市内に児童福祉施設を3事業所運営すると共に、おうめ創業支援センターで相談員を担当している。

 


第2回 起業にはいくらかかる?

前回、起業には『お金』と『経営知識・ノウハウ』が必要であるとお伝えしました。

今回は、そのうちの必要な『お金』について、2014年中小企業白書の統計データを基に解説します。


<今回のテーマ>

1.起業に掛かった費用
しっかりとした想いやビジョンを描いていたとしても、それを実現するためには資金が必要です。

ではどのくらいの資金を準備すれば良いのでしょうか。

2.起業に必要な自己資金
資金調達方法には、自己資金、親・兄弟等からの借入、金融機関からの借入などがあります。

そのうちの必要な自己資金について、解説します。

 


1.起業に掛かった費用

起業家は、起業時にどのくらいの資金が必要だったのでしょうか。2014年中小企業白書から起業に掛かった費用を見ていきます。

 

 

全体として、0万円~50万円以下と200万円~500万円以下を選択する割合が高く、それぞれ約2割存在しています。

女性や若者、シニアの特徴を見ると、女性や若者においては、比較的低額費用で開業する傾向があり、一方でシニアは高額な費用での起業も多く、1,000万円以上の費用をかけて開業する割合が2割弱存在します。

 

日本政策金融公庫の「2016年版新規開業白書」によると、『開業費用の平均値は1,205万円、中央値は720万円、500万円未満が32.8%、500万円以上1,000万円未満が31.6%、1,000万円以上~2,000万円未満が21.8%』となっています。

 

※中央値

データを小さい順に並べたとき中央に位置する値


起業家の年齢や業種にもよりますが、起業には多かれ少なかれ資金が必要であることが見て取れます。

 

 

2.起業に必要な自己資金

 

同じく2014年中小企業白書から『自己資金の持ち出しについて見ると、起業に掛かった費用と同様の傾向があり、女性や若者は低額である一方で、シニアが最も高い。退職金や長年の貯蓄を原資に起業をする者が多いことが推測される』としています。

 

日本政策金融公庫の「2016年度起業と起業意識に関する調査」によると

『起業費用に占める自己資金割合が「100%(すべて自己資金)」である割合が75.1%を占める。この割合を起業費用別にみると、起業費用が100万円未満の起業家では91.0%にのぼるが、起業費用が高額になるについて低くなる。』としています。

 

当然ですが、起業費用が高額の場合、全額自己資金というわけにはいかず、金融機関からの借入で資金調達することが考えられます。その際の借入額の目安は、自己資金額の1.5倍から2倍までとされています。
例えば、1,000万円を借りようと思えば、最低でも500万円の自己資金を用意する必要があるわけです。

 

起業を思い立ったら、少し遊びを控えて、できるだけお金を貯める努力をしてくださいね。


第1回 起業の現状を読み解く

毎年、中小企業庁から発行されている中小企業白書のデータから、起業の現状を読み解きます。


<今回のテーマ>

1.起業は甘くない?
開廃業率や企業の生存率を見ていきます

2.起業家も高齢化?!
起業家の属性を最新の統計データで見ていきます
3.起業に必要なモノ
アンケート調査結果から、起業に必要なモノを読み解きます



1.起業は甘くない?

2016年度中小企業白書によると、開業数が廃業数を上回った業種は医療・福祉(+0.5万者)のみとなっており、他の業種は全て廃業が開業を上回っています。

 

また、大くくりした3業種でみると、同程度、廃業が開業を上回っています。

 

製造業その他(計▲5.2万者)

商業(計▲6.2万者)

サービス業(計▲5.7万者)

 

※医療・福祉はサービス業に含む

 

 

せっかく起業したからには、誰もがその事業を継続させたいと思うでしょう。

 

しかし現実は厳しく、起業して3年後に生き残れるのは4割、10年後には1割しか生き残れないと言われています。それが中小企業白書の「開業率よりも廃業率の方が多い」所以でしょう。

2.起業家も高齢化?!

2017年度中小企業白書の起業家の年齢別構成を男女別に見ると、起業家全体に占める60歳以上の割合は、1979年以降男女共に増加傾向であることが分かります。

 

 

若者の起業家に比べシニア層は社会経験、自己資金などの面で、有利であることを理由に挙げています。


また、起業家の平均年齢も男女共に年々上昇しています。

 

3.起業家に必要なモノ

2017年度中小企業白書では、起業準備者が起業できない理由のアンケート結果を掲載しています。

 

これを見てみると、いずれの年代についても『資金調達ができていない』の割合が最も多く、次いで『事業に必要な専門知識、経営に関する知識・ノウハウの不足』の順になっています。


つまり、裏を返せば、事業化のために必要な『お金』と『経営知識・ノウハウ』があれば起業できる可能性が高いと言えるでしょう。『言うは易く行うは難し』ですね。お金もノウハウもすぐに貯まるモノではありませんしね。

 

しかし少し厳しい言い方になりますが、お金もノウハウも無ければ、起業できません。もしくは起業できたとしてもすぐに廃業してしまいます。


データからも分かる通り、起業はそんなに甘くないのです。
起業を思い立ったら、まずは『お金』と『ノウハウ』を貯める努力をしてくださいね。