ビジネスプランの作り方

執筆担当

中嶋 徹(Toru Nakajima) 

中小企業診断士、ITコーディネータ、インキュベーション・マネージャ

 

プロフィール

1961年生まれ 青梅市出身
大学卒業後、地域金融機関を経て商工会議所勤務、現在はおうめ創業支援センター常勤。趣味はゴルフと家庭菜園。

 



第5回 マーケティング

事業コンセプトが固まったら、次はマーケティングです。マーケティングとは、難しい定義はたくさんありますが、簡単に言えば「儲け続ける仕組みを作ること」。自社の商品やサービスを他社よりも優先的に購入してもらうにはどうすればいいのか? その重要な鍵を握るのが「マーケティング」ということになります。

<今回のテーマ>
1.マーケティングとは?
2.4Pで考える


1.マーケティングとは?

マーケティングで重要なのは、マーケット(市場)を見ることです。マーケットは、業界動向や競合他社を含む世の中のすべての動き、簡単にいえば「人」が何を考えているかということです。

 

世の中の人々の動きを的確に捉えながら、自社の製品やサービスを提供していく行為です。人を見て商売をすることに尽きます。それをしないで、自分の商品やサービスを売ろうとしても、振り向いてもらえないのが実情です。

 

売っていかなくては事業の存続はなく、何もせず黙っていてもどんどん売れる状況でさえなければ、そこには何らかの仕組みが必要です。


仕組みとは、商品自体の価値(Producut)、価格体系(Price)、売る場所(Place)、売り方や売る方法(Promotion)、それぞれの頭文字をとって4Pで表現されます。


4Cとは、顧客にとっての価値(Customer value)、顧客にとっての経費(Custmer cost)、顧客にとっての利便性(Convenience)、顧客とのコミュニケーション(Communication)のことです。4Pは「自分視点」で4Cは「顧客視点」ですが、マーケティングを考える上では、両方のバランスを考慮する必要があります。

2.4Pで考える

それでは、下記の4Pに従って、自社のマーケティングを考えましょう。大事なのはコンセプトと一致させることです。



第4回 ビジネスモデルと事業コンセプト

ビジネスとして成り立つためには、あなたが提供する商品やサービスが売れて、お金になることが必要です。それには、まず対象(お客様)を絞り込むことです。絞り込んだら、次に売れる仕組みを作ります。この順番と段取りをせずに、何かを売ろうとしてもうまくいきません。

 

<今回のテーマ>
1.ビジネスモデル(差別化要因)
2.事業コンセプトを決める


1.ビジネスモデル(差別化要因)

ビジネスモデルとは、儲けの構造・仕組みのことで、「誰を対象にどんな商品やサービスをどのような方法」で提供して利益を稼ぐかということです。

事業活動で大事なのは、利益を出し続けることです。

 

世の中には、まだまだ多くの不便や問題がありますが、それに気づき、解決するというビジネスモデルを考えて事業化する。そして、あきらめずに実直に続けることが、成功の秘訣です。

 

ビジネスモデルを、縦軸と横軸にそれぞれの特徴を表し、その関係性を2軸で表現したものをポジショニングマップといいます。このマップに、自社のポジションと競合他社のポジションをプロットすることで、戦う市場位置が明確になります。

 

そして、大手企業や競合他社がない、または少ないポジション(=市場)に位置し、そこに十分な数の顧客が存在することを確認しましょう。


ポジショニングマップを作ることで、ビジュアル化され、人に説明しやすくなります。また、自分が見ても、比較検討しやすいというメリットがあるので、活用しましょう。

2.事業コンセプトを決める

事業コンセプトを考えるならば、まずは顧客ターゲットを絞り込むこと。顧客ターゲットを絞り込まないで営業に出たり、集客をすることは非現実的です。例えば、プレゼントを買うのであれば、誰に買うのか、何を買うのか、予算はいくらなのか、どこで買うのか、などで変わってくるでしょう。


ターゲットを絞るには、属性(性別・年齢・居住地など)だけを見るのではなく、不便・不満や不自由を感じている人に対して、あなたの強みが響くユーザーは誰かという視点で考えることが重要です。


そして、自分の強みとビジネスチャンスを検討して、商品・サービスを「どこの・誰に・何を・どのように」提供するのかをイメージすることです。この事業コンセプトに従って、一貫したマーケティングを実施するのです。

 

コンセプトを決める三つの要素
①どこの誰に(メインターゲット)
その商品はどういう特性の人に販売するのか。
住んでいる地域・場所、性別、年代、ライフスタイル、特定の趣味・嗜好の持ち主、どんな価値観を持っている人物か、共通の仲間、何かに不便・不満・不自由さを感じている人、将来こうありたいと願っている人などあなたのメインターゲットとなるのは、そこの誰ですか?

 

②何を(ニーズ)(ベネフィット・便益)
そのターゲットのどのような欲求(ニーズ)を満たすのか、どんな役に立つ(ベネフィット)のか。
提供するものがあなたの商品やサービスですが、それにはどんな価値がありますか?

 

③どのように(提供技術)
ニーズをどのような方法(技術)で満たすのか。
メインターゲットに価値ある商品やサービスを、どのようにして届けますか?



第3回 強みとビジネスチャンス

経営理念と経営目標が決まったら、内部環境である「持っているビジネスの強み」と外部環境の「期待されるビジネスチャンス」を考えます。ビジネスモデルを作る前に、強みと機会を捉える作業です。

 

<今回のテーマ>
1.持っているビジネスの強み
2.期待されるビジネスチャンス


1.持っているビジネスの強み

さて、「あなたが始めようとする会社(お店)の強みは何ですか?」と質問されたら、どのように答えますか?多くの人は、人に言われて気づいたり、他と比較して感じることで、普段から「強み」というものを認識している人は、あまりいません。


「他のお店にはない特徴や独自のサービスは、あなたの会社(お店)には何かありますか?」
「お客様が喜ぶことや、わざわざあなたの会社(お店)に来ていただく理由は何でしょう?」
こう質問されれば、なんとなくイメージが湧いてくるでしょうか?

 

起業する前に、自分、自社、自社製品、自社の提供するサービスの強み(特徴、他社よりも優れているもの、他社には真似できないもの)は何かを追求しましょう。質も大事ですが、まずは下記の項目を参考にしながら、たくさんの量を出してみましょう。

2.期待されるビジネスチャンス

*何を売ればいいのだろう?
*どんな商売をすればいいのだろう?
こんな悩みを抱えている社長さんは多いものです。


そんなときは、
*どんな人がどんなことを望んでいるのだろうか?
*こんなことに困っているから何とかならないか
*こんな商品があったらいいなぁ
*自分がこうなったら幸せだなぁ


こうした世の中の困りごとを解決してくれるような商品・サービスは何か?そして、利用した人が幸せになる姿を想像することです。


自分が作りたいから作る、売りたいから売る、という自分主体ではなく、利用してくださる相手主体で考えるのです。そのためには、世の中の動き、人々の要望を知ることです。

 

企業は、マーケット(市場)を相手に事業をするものですが、マーケット(市場)は実際に目に見えたり手に採ったりすることができるものではありません。要は、人の考えや行動、嗜好や関心などであり、これらを相手にするのですから、幅広く世に中の動きに注目して事業を進めなければなりません。

それでは、下記の項目を参考にして。自社にとっての追い風となるようなチャンスを探してください。



第2回 全体像、経営理念、経営目標

前回は、ビジネスプランを作る意義や原則をお伝えしました。今回から、具体的な中身に入っていきます。

<今回のテーマ>
1.ビジネスプランの全体像を知る
2.経営理念の考え方
3.経営目標(経営ビジョン)


1.ビジネスプランの全体像を知る

ビジネスプラン(事業計画書)には決まったフォーマットはありません。ただ、最低限必要となる項目を網羅し、他人に説得できる内容でなくてはなりません。

 

一例は以下のようなものです。まずは、どんなものを書くのか全体を確認してください。

 

 

大事なのは、矢印の流れに沿って、上から下に順番に考えていくことです。

 

どこにお店を開こうか、どうやって売ろうかと考えるのは「マーケティング」ですから、ずっと後になって考えるべきことです。

2.経営理念の考え方

 

経営理念とは、
・どんな目的を持っている会社なのか
・何のために自分の会社は存在しているのか
を端的に表現したもので、すべての経営判断の指標となるものです。

 

すべての経営判断は、「できる・できない」の判断軸ではなく、経営理念に対してどうなのかという軸で考えるものですから、この経営理念は、一度作ったら変えないのが基本です。

 

誰のために作るかといえば、自分自身のため(未来に対する宣言・約束・希望・指針)、社員のため(行き先を示す・同じ夢を持って働いてもらう)、お客様、協力者、世間一般のため(共感を得る・応援・ファンになってもらう)ということです。下記の項目を参考に、筋の通った理念を納得のいくまで考えてください。

3.経営目標(経営ビジョン)

現在は、幾多の制約があってまだ実現していないことも多数あるでしょう。それらは、事業活動を通じて、一つひとつ克服しながら、理想とする姿に近づけていけばいいのです。


これを「いつまでに何をどうするか・どうしたいか」と明文化する作業が、この経営目標(ビジョン)作りです。

 

経営理念を実現するには、何十年あるいはそれ以上に時間がかかるものです。そこに近づけるための中期目標が経営目標と考えてください。

 

3年から5年後にどうなっていたいかを、定性目標と定量目標の2通りの目標を下記の項目を参考に考えてください。



第1回 ビジネスプランとは何か

最初に申し上げておきますが、ビジネスプラン(事業計画書)を作らなくても、起業することはできます。作らずに起業する人の方が人数としては多いと思います。しかし、起業したら「事業を早く軌道に乗せたい」「失敗したくない」ならば、ビジネスプランを作ってから起業するのはマストです。
世の中、設計図なしにゼロから何かを成し遂げようとしても、うまくいくほど甘くはないのです。

 

<今回のテーマ>
1.なぜ、ビジネスプランを作るのか?
2.ビジネスプランを作る7原則
3.ビジネスプランは何度も書き直す

 


1.なぜ、ビジネスプランを作るのか?

「ビジネスプランを作る意義」は何でしょうか?

答えは次の3つです。

①理想と現実のギャップを埋める
②ブレない軸を作る
③他人に理解してもらう

 

①は、今の自分にできていないことや足りないことは何かを知ることが重要で、起業までに克服していく道標になります。

 

②は、人は目標があればそれに向かって迷いなく進むことができます。なければ迷走してしまいます。


③これから多くの人の協力を得なくてはなりません。自分の考えを相手に伝えて応援してもらうには言葉だけでは不足しています。

ビジネスプランを作る最大のメリットは、「自分の頭の中が整理されること」でしょう。モヤモヤとしていた自分の想いが整理されることで、現在の課題が見えてきます。そして、未来のために現在の課題を行動で克服するのです。

2.ビジネスプランを作る7原則

物ごとには、原理原則があります。ビジネスプランを作るときの原則は以下のとおりです。

 

1.自分で作る
2.見栄え・格好を気にしない
3.独りよがりにならない
4.他人の意見も参考にする
5.最初から完璧を目指さない
6.何度も書き直す
7.プランをもとに必ず実行する

 

どれも大事なことですが、最初から完璧なものを作ろうとするよりも、まずは一度作ってから、全体を俯瞰しながら何度も書き直すことです。

 

3.ビジネスプランは何度でも書き直す

作り直すという作業は、一見無駄な作業と思えますが、書き直すたびに洗練され、理解が深まるものです。何よりも、「環境に適合する」ことができます。


周囲の状況は変わるもので、特に経営は、その変化に対応することが重要です。

 

書き直すたびに良くなります。実行可能なプランに近づきます。作ることは大事、しかしそれに固執することなく、何度も書き直すことはもっと重要と考えてください。

 

 

人は変化しないことが、居心地が良い・楽な生き物です。逆に、変化をすることは大きな労や・苦難を伴うため避けたいものです。

 

同じように、事業を始めたら、それを変えていくのはとても大変です。起業で成功するために必要なのは、変化に対応する能力であり、柔軟に対応することです。