必ず必要な販路開拓

執筆担当

杉野 喜久(Yoshihisa Sugino)

インキュベーション・マネージャー

 

プロフィール

1956年生まれ 山口県下関市出身

長年、繊維関係の業界に従事し、営業・商品企画・生産管理・販売管理・発注仕入管理・総務・経理等の職務を経験。平成22年独立、経営コンサルタントとして、経営改善、創業支援、事業承継等に携わる。



第11回 営業力を身に着ける方法 8

営業力を効率的に身に着けるには、プレゼンテーションスキルの訓練が欠かせません。

今回から2回に渡り、その重要性をお話しします。

<今回のテーマ>

1.プレゼンテーションの目的

プレゼンテーションの目的は、自分の考えや思いを、自信持って伝えるためです。自信を持って使う言葉には、説得力があります。

2.論理的思考の重要性

プレゼンは良いことだけ言うのは絶対にダメで、論理的思考が求められます。聞き手に突っ込まれようがない、論理的な思考による言葉が必要です。


1.プレゼンテーションの目的

「なぜ、プレゼンをするのですか?」と聞かれたら、私は、自分の考えや思いを、自信持って伝えるためですと答えます。自信を持って使う言葉には、説得力があります。他人のプレゼンを聞いていても、自信のある姿勢でしゃべられると何となく引き込まれてしまいます。ですから自信を持って臨むようにすることが大切なのです。

 

また、なぜプレゼンをするのかを明確にしておく必要があります。プレゼン全体の概要を最初にハッキリと伝えておくことが大切です。「このプレゼンでは、御社の問題の改善・向上に寄与することを目的としており、問題解決にも役立つと信じています。」というように明確に伝えておきます。

 

しかし長すぎてはいけません。人間の短期記憶は意外と短いため、長くても30秒程度にまとめることが重要です。こうすることで、聞き手は「なるほど。その点に関するプレゼンなのか」と理解できるため、プレゼン本編に入っても、意識をスムーズに移動させることが可能になります。

2.論理的思考の重要性

次に重要なのは、日本人は大人しい国民性の持ち主であるため、議論でヒートアップしにくいという特徴を持っているということです。したがって、相手の言うことにジックリと耳を傾け、そこに突破口を見つけるのが得意な民族でもあります。ですから言葉で伝えることが重要です。

 

また相手の言葉に耳を傾け、理論的思考をぶつけてください。そうすることで、自分にしか出来ないプレゼンが目指せることになり、聞き手に与える説得力も大きくなります。

プレゼンは一種の営業トークですが、良いことだけ言うのは絶対にダメで、論理的思考が求められます。聞き手に突っ込まれようがない、論理的な思考による言葉が必要です。ただし、問題を指摘するだけではダメで、論理の組み立てが重要になってきます。以下が最もシンプルで分かりやすいと思います。


1.現状の問題を指摘する
2.問題の原因を述べる
3.解決方法を述べる
4.解決した上でのメリットを述べる



第10回 営業力を身に着ける方法 7

営業は人間がやるものです。どんなに戦略が優れていても営業マンのモチベーションが上がらなければ結果は期待できません。心のケアが重要です。

<今回のテーマ>

1.IT日報の上手な使い方
IT日報を効果的に使って、営業マンのヌケやモレをカバーしたり、評価するための情報データとして使う。
2.褒めるところを「見える化」する
数字に結びつかない行動を、きちんと評価するために、IT日報を使って「見える化」する


1.IT日報の上手な使い方

人間誰しも忙しく飛び回っていると、ついついヌケやモレが出ます。それをそっと教えてくれるのが「IT日報」なのです。やるべきことを徹底してやり切ることが営業の基本です。でも忘れてはならないのが、武器を使い、施策を実行するのは生身の人間であるということです。

 

経営者がどんなに方針や施策を訴え、システム部門が武器を調達してきても、現場の営業マンの心が折れていては戦えません。そこをケアするのが「心の報酬」です。人は心で動く。頭を使うのも心次第です。心は胸ではなく脳にあります。心が元気でなければ客先で笑顔にもなれないし、頭も使うことができません。

 

心を元気にするためには栄養が必要です。心理学で「心の栄養」と呼ばれるものが「ストローク」です。相手を認めて褒めてやる働き掛けのことだと考えれば良いでしょう。出し惜しみせずにどんどん出して下さい。それで心が健康になるなら出す価値があります。

 

2.褒めるところを「見える化」する

 

部下を認めて、褒めてやることが重要であると口で言うのは簡単ですが、頭ではそうしようと思っていても褒めるところが見つからない場合は難しい時もあります。だから、褒めるところを「見える化」するのです。

 

たとえば、今期の営業方針として「新規チャネル開拓」を挙げたとしましょう。すぐに数字には結び付かないけれども大切なアクションです。これを「IT日報」を武器にして「見える化」すると良いでしょう。

 

地味だけれどもやるべきことをやっている人は褒めてあげなければなりません。下の人間は、管理されたいとは思っていませんが、頑張っていることは見ておいて欲しいし、現場の大変さを理解して欲しいと思っています。それをきちんと可視化してあげて、褒めてあげることは厳しい環境の中で戦う営業マンの心を元気にするために欠かすことのできない取り組みであり、営業活動を遂行していくためにも重要なことです。



第9回 営業力を身に着ける方法 6

営業開拓は、「トライアンドエラー」です。やってみてダメなら改善しましょう。この考え方を、企業戦略に持ち込む必要があります。

<今回のテーマ>

1.営業生産性を高める
顧客情報の共有と、業務情報の共有をタイムリーに行うことで営業生産性を高める

2. 顧客を選別する
ITを駆使して、顧客のランク分けを行うことで効率的な顧客管理が出来る


1.営業生産性を高める

厳しい経済状況が続いている時こそ、営業力強化が重要なのです。危機感がある時こそ改革のチャンスです。ですが、ほとんどの企業が「厳しい時だから足で稼げ」「訪問件数を増やせ」と従来のやり方を「単に強化」しようとします。

 

確かに営業力強化ではあるけれども、少なくとも「改革」ではないし、それではかえって「営業生産性」が低下することに気付いていません。

 

 

営業マンの顧客訪問は実のところ非常に高コストです。営業活動において顧客訪問は大切なことです。基本であり、原点と言ってもいいでしょう。

 

しかし時代は変化し、環境も変わりました。インターネットや携帯電話もあります。発想を変えて、訪問数を減らしてその分コンタクト数を増やすと考えてみましょう。WEB会議、メール、電話、FAX、葉書、資料送付などコンタクト方法はいくらでもあります。これで劇的に営業生産性を高めることができます。

 

2.顧客を選別する

営業の基本は、「手数」「足数」であり「やるべきことを徹底してやる」ことです。

そのやり方は、ただ訪問数を増やせ、電話本数を増やせと言うだけではなく、やるべきことを徹底してやり切ることが大切です。

 

たとえば、顧客のランク分けをする。売上実績とポテンシャルで決めるわけですが、Aランク、Bランクと決めれば、当然「Aランク客には毎月訪問しよう」「Bランク客は3ヶ月に一度の訪問」といった具合に訪問するルールを決めます。

 

「IT日報」を利用して、「Aランクは30日」と登録しておけば、31日目に「イエローカード」が出る。「受注予定日を過ぎても受注していない案件」と登録しておけば、予定日の24時を過ぎたところで「イエローカード」が出ます。

 

他にも設定次第で色々な「ヌケ・モレ・ムラ」防止ができますが、ITならこんなことは朝飯前です。だが、人間にはできません。無理してやろうと思ったら専任の人間が必要です。人間の限界はITに超えてもらえばいいのです。



第8回 営業力を身に着ける方法 5

営業力のある会社は、顧客情報を「データベース化」することと、現場を「見える化」します。

<今回のテーマ>

1.顧客情報を「データベース化」する
受注客の管理だけではなく、失注客や見込客まで管理するデータベースを作ることで、営業力を向上させます。
2.現場を「見える化」する
「見える化」をして、それを戦略の仮説検証につなげる一気通貫の仕組みを「可視化経営」と呼び、重要な手法です。

 


1.顧客情報を「データベース化」する

ITに情報を蓄積するのは、もう一つ理由があります。将来その情報を再利用出来るからです。営業マンの行動を蓄積しても将来役には立ちませんが、顧客の反応を蓄積しておけば、将来使える情報になります。今売れなくても一年後、二年後には売れることがあるからです。

 

顧客の情報が溜まっていれば、話のキッカケを作れます。リース販売のように反復リピートの営業なら、もっと効果的に蓄積情報を活用できます。

 

何しろITだから自動的に買い替えタイミングを自分で設定して知らせてくれるように出来ます。受注した客だけを管理するのではなく、失注客や見込客まで管理するデータベースを作るわけですから、日々の営業活動にムダがないし、顧客が減っていく時代にどんどん顧客を増やして行くことができるようになります。

 

また、商圏内の顧客が減る予測であれば、エリアを拡げることを考えましょう。

2.現場を「見える化」する

改善のために必要なことは現場の「見える化」です。見えないことには改善できません。戦略の改善(仮説検証)をするためには、企業活動全体の「見える化」が必要となります。

生産現場だけでなく営業現場、開発現場、購買現場、業務現場を「見える化」する仕組みが必要です。

 

ここで「IT日報」を武器として使います。

現場のモニタリングによってリアルタイムにデータを吸い上げます。そして日々のマネジメントに、それを応用します。先が見えない時代を飛んで行くためには、過去の経験を頼りに有視界飛行をするのではなく、レーダーやセンサーを駆使した高度なコックピットが必要です。

 

経営戦略を日々見直すモニタリングができなければ、いくら現場の営業マンが走り回っても継続的な成果には結び付きません。

 

「やってみてダメなら直してまたやってみる」というシンプルな活動を日々徹底できる企業が、激変の時代を勝ち抜いて行くことができるのです。



第7回 営業力を身に着ける方法 4

今回から組織編になります。営業力のある会社には、マニュアルがあり、考え方や行動に共通点があります。

<今回のテーマ>

1.チームセリング
売れない営業マンに具体的な指示を行うことや、同行などの支援をすることで成果を出す方法です。
2.IT日報の有効活用
従来の日報は、営業活動の「報告書」として使われ、行動管理のために利用されていますが、IT日報は「計画書」として使います。

 

 


1.チームセリング

 

営業で成果を出すには、売れない人間に対し、売れる人間が的確に指示する。これを徹底することです。

 

しかし多くの企業で上司が部下に指示をする、ということはやっているのに、うまくいっていない。それは顧客情報や商談プロセスを共有していないからです。

 

どんなに売る力を持った人でも、相手がどんな人で、どういう経緯で商談が進んでいるのかを知らなければ、具体的な指示はできません。

それを把握せずに指示をしようとするから、売れない人間はいつまで経っても、売れるようにはならないのです。


売る力を持った人が売れない人との間で顧客情報、商談プロセス情報を共有して、売るノウハウを売れない人に移してあげる仕組みを「チームセリング」と言います。

 

但し、チームセリングは、売れない営業マンに具体的な指示を行うことや、同行などの支援をすることで成果を出す方法であるが故に、営業マンを甘やかせることになり、思考力を阻害することになりかねない恐れがあることを忘れてはなりません。

 

2.IT日報の有効活用

 

「IT日報」は、使い方によって、顧客情報、プロセス情報、上司のアドバイス、部下の行動が蓄積されていき、営業組織全体のノウハウが活用されるようになります。

 

しかし、一般に日報は、部下の行動管理のために利用されていますが、それではダメで、日報は「計画書」として使います。


「IT日報」に、次回予定欄を作り、次にどうするか頭を使って書かせるわけですから、毎日頭を使う習慣が身に付くのです。

 

よく売る営業マンは、常に次の商談をどう進めるかを考えているし、商談の全体像をイメージしながら日々の営業活動を行いますが、売れない営業マン、成り行き営業マン、御用聞き営業マンは、その日のことで精一杯で、次の組み立てを考えていない。

 

日報に次回どうするか、次にどういうアクションを起こすかを書こうと思えば、当然、その日の顧客の反応や競合の動きなどを書いておかなければいけません。

 

次回予定を書けば、自ずと顧客のニーズや反応がデータベースに蓄積されていくことになる。これが重要です。