人事・労務の基礎知識

執筆担当

酒井 恒(Hisashi Sakai)

中小企業診断士

 

プロフィール

1971年生まれ 福岡県北九州市出身
大学卒業後、印刷紙器業、人材広告業、経営コンサルタント業などを経験。前職では、安全衛生関連講習の講師を全国各地で年間100日以上こなす。おうめ創業支援センターでは金曜日に相談員を担当している。

 


第2回 労働時間、休憩とは

前回の講義では人を雇い入れる際に重要となる労働基準法の概要について、確認しました。今回は具体的な内容について、確認していきたいと思います。第2回目のテーマは下記になります。

 


<今回のテーマ>
1.労働時間とは
様々な労働時間、その定義を知っておきましょう
2.休憩とは

休憩の考え方について理解しましょう


1.労働時間とは

労働時間とは、使用者の指揮命令の下労働に服し、役務を提供する時間をいいます。

 

労働時間には、法定労働時間と所定労働時間があります。法定労働時間は労働基準法という法律によって定められた労働時間。一方の所定労働時間は事業所で定められた労働時間になります。

 

法定労働時間は1日8時間、1週40時間でともに休憩時間は含みません。所定労働時間は各企業ごとに定めることができるのですが、法定労働時間を超えることは出来ません。

みなさんに質問です。

 

Q:法定労働時間が1日8時間なので、どんな場合でも使用者は労働者を8時間を超えて労働させることはできないのでしょうか???

 

A:×です。働いた経験のある方だと何となくイメージがわくと思いますが、忙しいときは8時間を超えて労働することはできます。いわゆる「残業」です。

ただ、使用者は労働者に残業させた場合、2割5分以上の割増賃金を支払わなければなりません。

そして、残業する場合には事前に使用者と労働者等との間で協定を結ぶ必要があります。

 

現在、「働き方改革」、「長時間労働への規制」ということが叫ばれているように残業は減る方向に向かっています。そのような流れから事業者は、労働者を雇い入れる場合、残業をさせないように仕事を組み立て、割振るという効率性が一層求められています。

 

また、ある企業が労働者の働きたい企業の条件について調査したところ、『労働時間の融通が利く』が第2位となっていました。労働者の希望する労働時間との調整が今後の人事戦略にも効果があります。

 

 

2.休憩とは

休憩とは、労働を免除された時間をいいます。

6時間を超える労働をさせた場合は45分、8時間を超える労働をさせた場合は60分の休憩時間を与えなければなりません。また、休憩は労働と労働の途中で与えなければなりません。

 以下のケースの場合、みなさんはどう対処しなければならないでしょうか?

 

<ケース>
ある労働者の所定労働時間が7時間だったので、事業者である皆さんはその労働者に労働時間の途中で45分間の休憩を与えていました。ところがその日は仕事量が多く、2時間の残業をその労働者にお願いしました。

 

<対処>
結果的に1日の労働時間が9時間となり、8時間を超えてしまいます。8時間を超える場合は、60分の休憩を取らせないといけないのですが、45分しか与えていないため、2時間の残業のどこか途中で残りの15分の休憩を与えることで、法令に違反のない適正な対処となります。

 

休憩時間は労働者が労働を免除された時間で、自由に使える時間なので、仕事の依頼をしてしまうとそれは休憩になりません。

 

例えば、電話が鳴ったら取りつないでもらうことをお願いすると、それは労働時間になります。ただ、労働者が自分の意思で取りつないでくれる場合は、休憩時間になります。


以上のことから労働者との良好な関係が、トラブルを未然に防ぐ最善の策となります。

 


第1回 人を雇うとは!

事業を開始するとき、人を雇い入れず1人で行う場合と、人を雇い入れて行う場合があります。人を雇い入れる場合には、ある一定の法律に従う必要があります。その法律を総称して『労働法』といいます。労働法という法律があるわけではなく労働基準法、労働安全衛生法、労働組合法、男女雇用機会均等法などを総称したものになります。この講座では、労働法の中でも重要なものをピックアップして確認したいと思います。

 


<今回のテーマ>
1.労働法で重要な法律
労働に関する法律を総称した『労働法』の概要を解説します
2.労働基準法が出来た背景

労働の基本となる法律「労働基準法」について解説します


1.労働法で重要な法律

労働法の保護を受ける「労働者」の対象は、雇われて働いている人となり、正社員だけでなく、派遣社員、契約社員、パートやアルバイトでも、「労働者」としての適用を受けます 。一方、事業主は基本的に労働法の保護を受けません。

 

「労働法」で重要な法律は労働基準法になります。労働基準法の目的は、労働者を保護することにあります。「労働法」にはその他にもいろいろとあり、下記のようなものがあります。

 

・労働安全衛生法
・労働組合法
・労働契約法
・男女雇用機会均等法

 

その他、労働者が仕事中に不幸にして事故に遭遇しけがをしたときに面倒を見てくれる労働者災害補償保険法や不況のあおりを食らって失業した時に面倒を見てくれる雇用保険法があります。

 

この労働者災害補償保険法と雇用保険法を総称して労働保険と言います。

 

 

また、労働災害以外で病気やけがをしたときに面倒を見てくれる健康保険法があります。老後の面倒を見てくれるものに国民年金がありますが、それだけだと生活が十分とは言えませんので、それをカバーしてくれるものに厚生年金法があります。

 

健康保険と厚生年金を総称したものを社会保険といいます。

2.労働基準法が出来た背景

労働基準法とは労働するにあたり基本となる法律で、労働とは仕事をすることです。仕事をするとは、労働者と使用者との間で労働契約を結ぶことになります。

 

この労働契約を結ぶと、労働者は使用者から仕事の命令を受けてその結果として役務を提供することになります。その代わりに労働者は給料をもらう、使用者は給料を払うことになる、要は両者に権利と義務が発生します。

 

このことを法律用語で、有償双務契約と呼んだりします。この労働契約を結ぶ際、よくあるケースとして、使用者側が有利に、労働者側不利にたたされます。

 

具体的に、不況の時期をイメージしてください。以下のような面接場面が考えられます。

 

労働者

何社も面接を受けても採用されず、なかなか仕事が見つからないんです。

   
経営者

そっか~そんなに仕事がしたいのなら、ウチで雇ってあげるよ。でもね、労働条件として、労働時間は1日13時間、時給は300円、月の休日は1日でどうだい。


労働者

がががんばりますぅ、、、、、、

 

そんなことがないように、労働者が仕事をする際には、労働条件の最低基準をつくり、労働者を保護するために労働基準法がつくられました。この労働基準法は日本国内にあるすべての事業場、労働者に適用され、違反をすると罰則をもって処罰されます。