強い組織のつくり方

執筆担当

村山 浩宜(Hirotaka Murayama)

中小企業診断士・VEスペシャリスト

 

プロフィール

1965年東京生まれ、地方育ち(岩手から熊本まで)
中堅商社、化粧品会社などを経て2013年独立。おうめ創業支援センターでは、水曜日・木曜日に相談員を担当している。



第4回 非言語によるコミュニケーション

今回は言語によらないコミュニケーション、非言語コミュニケーションについて解説します。

<今回のテーマ>

1.非言語コミュニケーションの重要性

意外と知られていない非言語コミュニケーションの重要性について解説します。

2.非言語コミュニケーションの働き

非言語コミュニケーションの働きを3つの視点で解説します。

 


1.非言語コミュニケーションの重要性

コミュニケーションというと「言葉で伝える」というイメージがありますが、非言語によるコミュニケーションを意識したことはありますか?


非言語コミュニケーションとは、言語で表現しきれない思いや感情を相手に伝えることで、その方法は身体の動作、表情、声のトーンやテンポなど様々です。

皆さんはメラビアンの法則というのを聞いたことがあるでしょうか?


アメリカの心理学者アルバート・メラビアンによって1971年に発表された法則で、人がコミュニケーションを取るときの受け取る情報を100とすると、相手から発せられる言語の内容である「言語情報」から7%、声のトーンや口調、大きさ、話す速さなどの「聴覚情報」から38%、そして相手のジェスチャーや視線、表情といった「視覚情報」から55%の情報を受けているというものです。


ケースにもよりますが、言語メッセージよりも非言語コミュニケーションによるメッセージのほうが、影響力が強いということです。

つまり、非言語コミュニケーションを意識的に活用すると、伝えたいことが伝わりやすくなる効果があるということです。

2.非言語コミュニケーションの働き

非言語コミュニケーションの働きは大きく3つに分けることができます。


一つは言葉の補完です。
たとえば、2020年東京オリンピック招致の滝川クリステルさんのプレゼン。
文字だけの「おもてなし」と、笑顔や明るい声のトーン、ジェスチャーが加わった「お・も・て・な・し」では、伝わり方に雲泥の差があるのは明らかですね。

二つ目は信頼関係の構築です。
非言語コミュニケーションは、「安心感」や「話しやすい雰囲気」を作り、相手と信頼関係を築きます。

笑顔やうなずきがあると話しやすい雰囲気になりますし、たとえ何も話さなくても、やさしく微笑むだけで心が通じ、安心感が生まれるものです。

 

三つ目は相手の状況を理解できるということです。
表情や声のトーンは、無意識に変化していることが多いものです。

たとえば、体調が悪いときに顔色が悪くなりますが、顔色を意識的に変えることはできません。言葉では「大丈夫」だと言っていても、本当の状況は非言語情報には表れます。相手をよく見れば、相手が言葉にしていないことも分かります



第3回 コミュニケーション

今回は3要素の3つめ、コミュニケーションについて考えます。

<今回のテーマ>

1.コミュニケーションとは
簡単そうで難しいコミュニケーション。キャッチボールが大切です。

2.伝える、聞く、質問する
コミュニケーションの基本は、伝えると聞くですが、そこに質問力が加わることが重要です。


1.コミュニケーションとは

組織が成立するためにコミュニケーションが大切なことは直感的に理解できると思います。では、コミュニケーションとはなんでしょうか?辞書で調べると「意思や感情、思考を伝達し合うこと」となっています。説明だけ見ると、特に難しくはなさそうです。
しかし、組織に限らず、コミュニケーションを円滑に行うことは意外と難しいものです。

 

ここで注意したいのは「・・・し合うこと」となっている点です。コミュニケーションはよくキャッチボールに例えられます。意見や感じたことを、言葉や文字などの「言語」、表情や身振りなどの「非言語」を使って、相手に投げたり、相手から受け取ったりすることによって交換し、お互いを分かりあうことだといえます。

 

こんな話を聞いたことはないでしょうか?相手に何か伝えるとき、どんなに上手く伝えても80%しか伝わらず、受け取る側も80%しか理解できない。つまり、最大で80%×80%=64%しか伝わらないということです。

 

ですから、キャッチボールをすることで、100%に近づけていく努力が必要ということです。

2.伝える、聞く、質問する

キャッチボールという話をしましたが、言語によるコミュニケーションは、「伝える」と「聞く(受け取る)」の2種類に分けることができ、さらに「聞く」には、不明な点を明確にする「問いかけ」があります。これは「質問力」とも言われます。

 

相手と分かりあうためには、できるだけ多くの情報をやりとりし、聞き手が受け取った情報と、話し手が言いたかった情報を確認することです。

話を聞いて質問して確認し・・・を繰り返すことで、相手と分かり合うことができるのです。

こんな笑い話を聞いたことがあります。上司の指示に対する部下の「はい」という返事(言語)は、「はい、わかりました」という意味ではなく、「はい、聞こえました」という意味だそうです。(悪意があるわけでなく、取りあえず「はい」と答えてしまう)

 

そういう意味で使っているとすれば、部下が動かない理由も分かります・・・・


言葉だけでは伝わらないケースもあるようです。

次回は「言語」ではなく「非言語」によるコミュニケーションについて解説します。



第2回 貢献意欲について

今回は組織成立3要素の2つめ、貢献意欲について解説します。

貢献意欲が高まれば組織の成果も上がります。大切な考え方を押さえておきましょう。

<今回のテーマ>

1.貢献意欲を高める前に

貢献意欲を高める前に押さえておくべき重要な考え方を解説します

2.貢献意欲の高め方

人間の欲求は階層構造になっていることを理解しましょう


1.貢献意欲を高める前に

貢献意欲とは、共通目的に対して貢献しようとする意志のことで、簡単に言うとモチベーションです。

では、モチベーションを向上させるためにはどうすれば良いでしょうか?

 

金銭やモノ、仕事の面白さ、魅力的な仲間、表彰など、色々とありそうです。また、巷にはモチベーション理論の本が溢れています。しかし実は、モチベーションアップの前にやるべき大切なことがあります。

大切なこととは何でしょうか?

それは役割の理解です。言い換えると「共通の目的」を理解しているか、です。

一般的に共通の目的は、経営理念などで表されます。ただし、理念は抽象的であり期限が付されていないため、行動指針などにまとめてわかりやすくする工夫が必要です。

 

共通の目的が理解できていて、自分の役割がわかっていないと、モチベーションの上げようがないということです。

2.貢献意欲の高め方

人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されていて、低階層の欲求が満たされると、より高次の階層の欲求を欲するとされています。これはマズローの欲求5段階説と言われるものですが、モチベーションを高めるには上位2つの欲求に働きかけることが必要です。

 

承認欲求・・・集団の中で認められたい(他者から尊敬されたい)という欲求
自己実現欲求・・・自分の能力を引き出し創造的な活動がしたいという欲求


承認欲求が満たされることで自己実現欲求が生まれ、人は自ら考え行動するようになると言われています。

ちなみに低次欲求は衛生要因とも言われ、満たされないと不満を持つ要因なので、この部分に働きかけても継続的なモチベーションアップには繋がりません。



第1回 組織の3要素

そもそも組織とは何でしょうか?それが理解できていないと「強い組織」は作れません。今回は組織の3要素を中心に解説します。

<今回のテーマ>

1.組織の3要素

組織が成立するための3条件について解説します。
2.組織の目的

3要素の一つ、共通目的を考える前提として、組織の目的とは何かを確認します。


1.組織の3要素

組織の3要素とはアメリカの経営学者であるバーナードが定義した「組織が成立するために必要な条件」のことを言います。その3つのとは

・共通目的
・貢献意欲
・コミュニケーション
であるとされています。

この理論によると、単に人が集まっていても、それだけでは組織の体をなしていない事になります。

 

 

それでは、各要素について見ていきます。

共通目的とは、人々が集まって達成しようとする目的のことです。そもそも、一人では達成できない目的であるから、組織が存在します。全員が目指すべきゴールや、あるべき姿をしっかりと明確に定義していることが必要です。


次に、貢献意欲です。これは、自分を犠牲にして、目的達成のために貢献しようとする意志のことです。組織にいる全員が、協力をし、組織貢献を果たすような風土づくり、関係づくりが出来ていることが必要です。

 

そして3つめがコミュニケーションです。共通目的が何かということが、コミュニケーションによって人々に伝わらなければ、貢献意欲は得られないということです。

2.組織の目的

3要素の一つ、共通目的を考える前提として、組織の目的について確認しましょう。


企業の第一の目的は何ですか?と問われたとき、皆さんは何と答えるでしょう?

多くの人が「利益をあげること」だと答えます。確かに、企業にとって利益は大切で、利益をあげないと事業を継続することができません。

しかし、一歩引いて考えると「お客様に選んで頂ける商品やサービスを提供すること」とも言えます。

 

これは洋の東西を問わず、昔から言われてきたことで、西洋の偉大な経営学者ピーター・ドラッカーは「事業の目的として有効な定義はただひとつである、それは顧客を創造することである」と述べています。日本では、近江商人の教え「売り手よし、買い手よし、世間よし」が有名です。

要するに、「お客様を喜ばすことが利益に繋がる」ということです。


組織の目的を考えるとき、「お客様を喜ばすこと」と「利益を上げること」のバランスに注意する必要がありそうです。