先輩起業家に学ぶ

執筆担当

杉野 喜久(Yoshihisa Sugino)

インキュベーション・マネージャー

 

プロフィール

1956年生まれ 山口県下関市出身

長年、繊維関係の業界に従事し、営業・商品企画・生産管理・販売管理・発注仕入管理・総務・経理等の職務を経験。平成22年独立、経営コンサルタントとして、経営改善、創業支援、事業承継等に携わる。



第2回 事例紹介その2

株式会社サムライTシャツは、西多摩エリアで唯一、様々なアパレル製品に印刷・刺繍加工を本格的に行っている会社です。

<今回のテーマ>

1.理念に顧客と従業員がついてくる
従業員を大事な資源として、しっかり教育していくことと、分福の精神が大切です。
2.地域に密着する
地域に密着して、西多摩エリアで、Tシャツを作るならサムライTシャツに先ずは相談するぐらいになるように、様々な仕掛けをしていきます。


1.理念に顧客と従業員がついてくる

株式会社サムライTシャツ代表の澤田さんが、大事にしていることは、


1.従業員への教育は投資だと思っています。時間もお金もかかるし、リスクもありますが、利益を生んでくれる大事な資源だと思っています。


2.会社の特性・立ち位置の把握が大事です。強い所を伸ばし、弱い所を強化することが、事業を継続する唯一の方法です。


3.従業員が仕事に対して求めている事には、幅広い個性があるので、それを大切にしています。正社員は子供、パート・アルバイトは孫だと思っています。子供には厳しく、孫には優しく接します。


4.分福の精神が大事だと思っています。自分に福(メリット)を求める前に、まず相手に福(メリット)を与えたいと思っています。


5.常に前向きの姿勢が大事だと思っています。やっかみ、ぐち、悪口は、お客様・従業員に伝染します。


以上の考え方が、サムライTシャツの理念であり、それにお客様と従業員が賛同してくれていると思っています。

2.地域に密着する

 

当社を認知してもらうために、澤田社長が取った戦略は、軸足を青梅にしっかりと築くことでした。具体的には、青梅(地域)のためになるのであれば、何でもやる姿勢でいましたので、イベント・祭り・飲み会は断りませんし、地域のためになるのであれば、利益にならなくても積極的に参加しました。

 

これは今後も変わりません。また、無料で使えるSNSは全て使用し、どんどん友人・知人を増やしています。具体的には、Facebook、Twitter、ブログなどですが、より一歩、深い交流を常に、目指しています。

 

名刺を交換するだけでなく、何度も会う・呑む・話す事で絆が強くなると思っています。郷に入れば郷に従えです。よそ者だからこそのイノベーション・バランスが大切だと思います。買え・作れではなく、相手が受け入れやすい、相手のニーズに沿ったプロジェクトとして提案することを心がけています。

 

西多摩エリアで「Tシャツを作る=サムライTシャツに相談する」となるように、PRも含めた様々な仕掛けに力を注いでいます。長期目標は西多摩エリアおよび、近郊都市の制覇で、売上高2億円を目指しています。



第1回 事例紹介その1

青梅市友田で、地元の食材を使って東京産のチーズを製造販売しているフロマージュ・デュ・テロワールさんを紹介します。

<今回のテーマ>

1.真似のできない強みを持つ
看板商品であるフロマージュ・ドーメは、青梅産の牛乳を使った、ウォッシュタイプのチーズです。仕上げに、青梅の生酛酒を使っており、他社には真似のできないチーズです。
2.信念を曲げない
自信を持ってお客様に出すために、納得できるチーズを作ろうと努力しました。3年経って、ようやく製造が安定し、満足のいくチーズが作れるようになりました。


1.真似のできない強みを持つ

フロマージュ・デュ・テロワール代表の鶴見さんは、チーズ等の海外乳製品を扱う卸会社に勤務していましたが、以前より自分でチーズを作ってみたいと思っており、12年前にフランスのチーズ製造学校に留学して、製造知識を学んで帰国しました。

 

帰国後、自己資金をためて4年前にチーズ製造および販売を事業として独立しました。社名になっているテロワールという言葉は、その土地、あるいは地域といった意味を持つフランス語です。

 

原料乳、乳酸菌、塩、風味をつけるためのお酒等をすべて青梅、あるいは近隣の食材を使って作るという意味を込めて付けました。

 

 

看板商品であるフロマージュ・ドーメは、青梅産の牛乳を使った、ウォッシュタイプのチーズです。仕上げに、青梅の酒造、澤乃井の生酛酒「元禄」を使っています。真似のできないチーズです。この度、東京都地域特産品認証食品になりました。東京都の特産品というわけです。

 

地元の食材でチーズを製造しており、安心、安全で美味しいと、チーズ愛好家のファンが増えてきました。

2.信念を曲げない

しかし最初から上手くいったわけではありません。工場兼お店の設置場所探しから始まり、内装工事の会社を探し、資金調達、助成金の申請などを全て同時進行で行いました。

 

また、伝手を頼ってチーズ製造器具の会社を探し、原材料の入手方法を探すという感じで、想定外のことがたくさん起こりました。自宅で試作品はすでに作り始めていましたが、本番の製造と試作品では勝手が違いました。

 

 

最初は、資金が少なくて、店舗形態をとっていなかったため、認知度が低く、噂にはなっていたのですが、集客に結びつかなくて、チーズがたくさん余ってしまい、泣く泣く処分したこともありました。

 

また、夏場は原料である生乳の状態が不安定になりやすく、職人気質の鶴見さんの満足のいくチーズが出来ませんでした。3年経って、ようやく製造が安定し、持続化補助金の採択で店舗改装を行い、集客が良くなって、売上が上がって来ました。

 

スタッフも2名雇えるようになり、白カビタイプのチーズやヤギのチーズなど、新しい商品も作れるようになりました。